消え去るもの

 ペットを飼ったことがある。犬や猫や鳥やハムスターなど。すべて私より先に死んでいった。ある時から先に死なれることに耐えられなくなってなにも飼わないことに決めた。

しかし、そういう自分だってあと50年もすればこの世にいるかどうかわからない儚い存在なのだ。
いったい生命とはなんのために発生したのだろう。私は自分のことを地球上にはえたカビのようなものだと認識しているのだが、それは卑下しているのではなくて自然の一部であると強く感じているという意味においてである。寿命が尽きる頃には今よりもっと科学は進歩して人間社会の営みは続いていくのだろう。そして私は消える。跡形もなく。
私だけではない。これを読んでいるあなたを含め、全員がいつかは消え去る。一体何が消えるのだろうか。
何も変わらないのではないか。