希望名人と絶望名人の同居

『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』(頭木弘樹著)という本を棚から引っ張り出してきた。以前読んで大いに笑い、大いに共感した本だった。

何に笑ったかと言うと、カフカの絶望っぷりがあまりにも徹底していることに、だ。「朝の希望は、午後には埋葬されている」と彼は言う。朝起きて即眠剤を飲んでしまいたいと思うほど日常に嫌気が差していた私でも、カフカほどは絶望していない。そう思うと笑えてくるのだ。

そして共感したのはゲーテの希望たっぷりの言葉。

「希望は、私たちが生きるのを助けてくれます」こんなシンプルに希望を持てるゲーテにも共感の拍手を送りたい。

誰しも希望と絶望を抱えているものだから、きっとゲーテの言葉にもカフカの言葉にも琴線に触れるところがあるのだと思う。私も、そうだ。

この一冊の本に希望名人と絶望名人が同居しているのと同じように、一人の人間にもそれが同居しているのだと思う。いま、たまたま絶望の一面を見せている人がいたとしても、その魂は必ずや、勇敢で希望に満ちた一面を秘めている。私はそう思う。そう信じたい。

よし、今日も一日、やっていくぞ!